クルフィーの色~インド.料理.旅など~

ひたすらインドとヒンディー語について綴られるブログです

インドルピー、新紙幣への交換に関する騒動

インド国内で流通している500ルピーと1000ルピーが新しい紙幣とともに刷新されることが決まりました。なんの前触れもなく、突然の発表でした。
旧紙幣は発表の翌日、9日午前0時を持って金銭としての価値を失っています。人々は新紙幣に交換する猶予が与えられませんでした。
新紙幣は1000ルピーが廃止され、新500ルピーと2000ルピー札になります。
連日インドのニュースではATMに並ぶ長蛇の列が報道されています。
ATMでは現金が猛烈な勢いで枯渇し、人々の手に行き渡っていないとのことです。


この騒動のショックでなのか、数日前にはある女性が古い紙幣をたくさん持ったまま心筋梗塞で亡くなったそうです。20年独りで暮らし、老後のためにコツコツと貯金していたとのこと。


モディ首相が目指す「クリーンなインド」のために、ブラックマネーをなくすための思い切った策が今回の騒動につながっています。
銀行での紙幣交換は一度に4500ルピー(11月14日現在)が限度、自宅で大金を保管していたり隠していたら、全てを新紙幣に交換するのに労力がいるということになります。
果たしてモディ首相の案は功を奏するのか、…。


現在のインドはこの件を受け非常に混乱しています。
多くの人々はATMや銀行に行き順番待ちをするために、一日中仕事を放り出さなくてはなりません。高額紙幣が使えなければ小額紙幣で生活を送るしかない、しかしそれらの小銭が使い終わってしまったら実質生活費が底をついてしまいます。
デリーのある建設作業員は通常は日当で得ている賃金を、この先2年分の金額を古い紙幣での前払いで受け取らされたということです。受け取っても、旧紙幣は法的な効力をすでに失っています。


インドではまだまだカードでの支払いは普及していません。
モディ首相は以前から国民に対し、現金は銀行に預けるように呼びかけていたそうですが、現金が無ければ日常生活を送るのは不可能といえます。そうすると必然的にタンス貯金が増えます。もちろん金額の大きい紙幣とともに。


今まで大金を自宅保管していた人の中には、急いで大量の旧紙幣を持ってiPhoneを買いに走る人や、貴金属(金)に変えようとする人も出ているそうです。


インドは人口の多い国です。こんな事態になって人々が押しかけたら、金融サービスは全く足りておらず、機能していません。