クルフィーの色~インド.料理.旅など~

ひたすらインドとヒンディー語について綴られるブログです

印象深いリキシャーの運転手

インドを旅していてリキシャーに乗ると、海外からの旅行者である私はよく多額の運賃を請求されることがよくあります。
もうわかりきっている事態で、慣れてはいます。
しかし、リキシャーの運転手なんてそんなもんだと考えてしまうのも私は躊躇します。
割り切って考えるのも1つの手ですが、やっぱりいい人に乗せてもらいたいなとか、ポジティブに考えていたいなと思うのです。


そんなインドでの日々と小さな葛藤の中で、いい思い出として印象に残るリキシャーの人もいます。
私が初めてラクナウに行った時のこと、列車はまだ明るいうちに駅までついたはずだったのに、気づいたらすっかり日が落ちていました。
なんの予定もないバックパッカーの私は大きなリュックを背負い、ホテルを探さなければなりませんでした。
とりあえず歩き出して大きな通り沿いを歩いていたら、後ろから若い運転手の乗った三輪リキシャーが来ました。
「ホテルを探すなら1ルピーでいいから乗って。」という彼に、私は全く信用していませんでした。
いくらなんでも1ルピーで手を引くはずはないだろうと思ったのです。
とはいえ何の宛もなく歩いていた私は、彼がどこかしらホテルの方に連れて行ってくれるならば助かると思い、そのリキシャーに乗ることにしました。
リキシャーに乗ってから彼が自転車をこぐ後ろ姿を改めて見ると、彼の年齢は当時19歳の私と同じくらいか、むしろ若いくらい。
雑談をすることもなく黙々と漕いでいました。


そのまま何件かホテルを回ってもらうも、なかなかいいホテルが見つからない。
「別のホテルに連れてって」と言うと、嫌な顔1つせず彼は漕ぎ出していました。
最終的にそこそこのホテルを見つけ、彼に運賃を払うことにしました。
そして、彼が最初に言っていたのが1ルピーだったのを考慮しつつ、私は20ルピーを彼に手渡しました。
私が泊まるホテルからは彼にコミッションが入るだろうとも思っていました。
20ルピーはチップにしてもそんなに大きな額でもなく、彼が働いた分にもちょうどいいくらいの金額でした。
それなのに、彼は私が想像もできなかったほどの満面の笑みでお金を受け取り、心から嬉しそうに私に感謝していました。
インドの道端で稀に見る、とても純粋な笑顔で。
その時になって私はようやく彼が本当に1ルピーの金額を提示して乗せていたのかなと思いました。


私にとって、日々のリキシャー運転手への不信感が払拭される良いできごとでした。